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干しダコの味 [読書]

 このあいだ頂いた干しダコ(http://otomoji-14.blog.so-net.ne.jp/archive/20171226)はまだ食べていませんが、堀井令以知『ことばの由来』(岩波新書)を読んでいると、こんな文章がありました。


 <「引っ張りだこ」といえば、方々から求められ期待されるさまのことだが、これは蛸の乾物を作るときに、肢体を引っ張って広げることから来たことばである。一説には、あちらこちらから引き合うさまが凧に似ているからともいう。しかし江戸時代には刑罰の磔(はりつけ)のこともいった。>


 おどろいて「引っ張りだこ」を古語辞典でみると、たしかに(2)として磔という意味も書かれています。そういえば、干しダコはそんな形にも見えます。


 凧揚げは、与謝蕪村の句「いかのぼり きのふの空の ありどころ」があるように、元来はイカであったのですが、電線もない時代、大はやりしたのですが、大名行列の上に落下したりで禁止になったそうです。それで、これはイカではない、タコだといってする人が現れ、たこ揚げになったそうです。


 お正月といっても最近は、凧揚げも見かけませんが、なかなか干しダコにも、深い味わいがあるものです。こころしてタコめしに仕上げなくては・・・と思います。



 





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いざ鎌倉 [徘徊/食物]

 先日、鎌倉へ出かけてきました。天気が良くて温かで、江ノ島の向こうに箱根や富士山が見渡せました。中学の修学旅行以来なので、55年ぶりです。鎌倉は鉄道の幹線からはずれているので、目的にしないと寄りにくい場所です。


IMG_1881.JPG


 鶴岡八幡宮や長谷大仏はむかしの記憶がかすかに残っていました。腰越川という標識をみると源義経のことが思いだされます。それにしても頼朝は何故こんな狭い場所に幕府をひらいたのか不思議です。

 

 昭和12年9月24日、中原中也はともに鎌倉に住んでいた小林秀雄を訪ね、詩集『在りし日の歌』の清書原稿を託しました。いろいろなことがあった二人の最後の語らいでした。


 坂の多い町なのでつま先が痛くなります。小腹が空いたので、店を覗くと、どこもシラス丼がおすすめのようでした。磯辺餅をいただきました。


 今年はどんな年になるのか・・・犬のように嗅覚に導かれて、さまようのもいいかもしれない。ことしは古稀になります。

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風に吹かれて [徘徊/食物]

 明石海峡に近い町から干しダコが届きました。スルメと違って、焼いても硬そうなので、どうして食べようか・・・ぶつぎりにしてタコ飯にでもしようかと迷っています。


IMG_1877.JPG


 こどものころから船乗場などに何匹も並べて、つるしてあるのはよく見かけましたが、食べたことはありません。タコは茹でて食べたら美味しいのに、なぜ、干物にしているのか不思議でした。普通に食べるタコとは、種類がちがうのかも知れません。


 生タコをおいしく食べるには手間がかかります。すり鉢で塩もみをして、ヌメリを充分にとります。洗濯機にかけるひともあるようです。茹でかげんも難しく、堅すぎず、ふやけ過ぎず、経験が必要です。


 ゆで上がると、足がきれいに丸まりますが、なぜが足先は切り落として食べません。ゆでダコを見て、怪物のようで気持ち悪いといって、食べなかったひとがいました。


 干しダコをどうやって食べようか、料理法が決まるまで、もうしばらく風に吹かれていてもらおうと思います。

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ことしの本など [読書]

 きのう新聞を見ると、書評欄は年末恒例の「ことしの3冊」をそれぞれの書評担当者が短評と共に挙げていました。何冊かは読んだ本もありましたが、まったく見たこともない本も多数ありました。 


 最も多くの評者が推したのが、國分功一郎『中動態の世界』(医学書院)でした。題名からはどんな内容なのか想像できませんし、一般の書店では見かけにくい出版社のものなので、よっぽど興味深いのだろうと思われます。能動でもなく受動でもない世界・・・ということのようですが・・・どこかで見つけたら、パラパラ、眺めてみようという気になります。


 新聞は新刊本の紹介ですが、普段、読むのは古いものから新しいものまでさまざまです。ことし読んでおもしろかったのは、今更ですが、福沢諭吉『福翁自伝』(岩波文庫)でした。他には森まゆみ『子規の音』(新潮社)、村井康彦『出雲と大和』(岩波新書)とか・・・いくつか思いうかぶ程度です。


 いま読んでいるのは、杉本鉞子『武士の娘』(小坂恵理訳 PHP)です。明治 6年に越後・長岡に生まれ、25歳で渡米した著者が、1925年に『A Daughter of the Samurai』として出版した自伝風物語の新訳です。


 <将軍側の負け戦が確実になると、長岡藩は絶望のどん底に突き落とされました。戦に敗れて夫が囚われの身となったことを知った母は、家族を安全な場所に避難させたうえで、屋敷に火を放ちました。>


 150年ほど前の世の中が生々しく語られています。歴史の本では伝わらない、人間のにおいが漂っています。自伝のおもしろさでしょう。しばらくは寝るまえの楽しみとなりそうです。


 

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在りし日の歌 [読書]

 今日はきのうと変わって、暖かそうな天気です。 岩波新書『中原中也』を書いた佐々木幹郎はむかし、よく現代詩手帖という雑誌で名前をみかけた詩人です。ねじめ正一、荒川洋治などの名もあったように思います。


 2000年から『新編中原中也全集』(角川書店)が出たのですが、佐々木幹郎が編集責任者だったようです。この新書には1967年から大岡昇平らの編集ででた旧全集以降に見つかった資料や、新全集刊行後に出てきた中原の手紙なども紹介されています。


 五十年ぶりに、その生涯や詩を再読すると、かえって自分が過ごしてきたこの間の歳月のことがよみがえります。いつのまにか中原中也は、わたしの子供たちよりも年下になっていました。それでも、いいなぁとあらためて感じる詩がいくつかあります。


      言葉なき歌


  あれはとほいい処にあるのだけれど

  おれは此処で待つてゐなくてはならない

  此処は空気もかすかで蒼く

  葱の根のやうに仄かに淡い


  決して急いではならない

  此処で十分待つてゐなければならない

  処女の眼のやうに遥を見遣つてはならない

  たしかに此処で待つてゐればよい


  それにしてもあれはとほいい彼方で夕陽にけぶつてゐた

  号笛(フイトル)の音のやうに太くて繊弱だつた

  けれどもその方へ駆け出してはならない

  たしかに此処で待つてゐなければならない


  さうすればそのうち喘ぎも平静に復し

  たしかにあすこまでゆけるに違ひない

  しかしあれは煙突の煙のやうに

  とほくとほく いつまでも茜の空にたなびいてゐた



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寒い朝 [雑感]

 朝が寒くなってきました。指さきが冷えます。手を使う仕事なので、あたたまるまで気をつかいます。「冷たい」の語源は「ツメが痛い」だそうです。


 最近でも、ときおりシモヤケの人を見かけますが、温暖化のせいかほっぺたをくずれるほどまっ赤にした子供はいないようです。


 こどもの頃は、寒い朝、通学路やあぜ道で霜柱を踏みながら歩いた記憶がありますが、もう長い間、あのサクサクという歩く感触は味わっていません。もしかしたら、早朝のゴルフ場では聞こえるかもしれませんが、クラブはもう三十年も使っていません。白い息をはきながら、 1番ホールのティ・グラウンドに立つのも気持ちのいいものです。


 12月になると、膝から下が痒くなるひとが多いようです。革製品は脂がきれるとカサカサになります。冷えた手足をいたわりながら、この冬も乗りきりたいものです。


  木がらしや目刺にのこる海のいろ (龍之介)

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よみがえる詩句 [読書]

 19歳ごろ、南海電車に乗って、吊り革を持って車外を眺めていると

   腕にたるんだ私の怠惰

   今日も日が照る 空は青いよ

という中原中也の詩句が頭にうかびました。 丁度その頃、角川書店から『中原中也全集』が出ていたので、すみずみまで読みました。その後は遠ざかりました。


 最近、本屋さんに佐々木幹郎『中原中也 沈黙の音楽』(岩波新書)という本が並んでいました。そばを通るたびにちょっと中身をながめたりしていたのですが、まぁいいかと戻していました。そのうちに見えなくなりました。


 それが先日、また棚に立てられていました。まぁいいかと買ってきました。五十年まえの記憶が蘇ってきます。


    一つのメルヘン

  秋の夜は、はるかの彼方に、

  小石ばかりの、河原があって、

  それに陽は、さらさらと

  さらさらと射してゐるのでありました。

 

  陽といっても、まるで硅石か何かのやうで、

  非常な個体の粉末のやうで、

  さればこそ、さらさらと

  かすかな音を立ててもゐるのでした。

 

  さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、

  淡い、それでゐてくっきりとした

  影を落としてゐるのでした。

 

  やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、

  今迄流れてもゐなかった川床に、水は

  さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました......

 

 


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秋の歌 [雑感]

 この間まで台風が来ていたのに、先週末は霰が降っていました。もう晩秋の雰囲気です。落葉が風に吹かれています。


  この道や行く人なしに秋の暮 (芭蕉)


 長谷川きよしという歌手に「秋だから」という歌があります。いつごろ出されたものなのか分かりませんが、車にのっている CDに入っていて、時々、耳にします。


 むかしはよくヴェルレエヌの「秋の歌」を上田敏が「落葉」として訳した・・・


   秋の日の

   ヰ"オロンの

   ためいきの

   身にしみて

   ひたぶるに

   うら悲し。


という詩句を目にしましたが、最近はあまり見かけません。 それにしても詩が顧みられなくなったのは、惨憺たるものです。 飯島耕一、田村隆一、清岡卓行、吉岡実・・・綺羅星のごとくの時代があったのですが・・・またいつか、人口に膾炙する詩句がたくさん生まれてほしいものです。


  門を出れば我も行人秋のくれ (蕪村)



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