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駿河のくに巡り [徘徊/旅行]

 今朝はセミがかよわく鳴いていました。去年は 7月9日が聞き始めだったので、ほぼ同じころです。今年はつい先ごろ梅雨入りしたばかりですが、セミの声を聞くと、もう夏だと思います。


 先日、ふと思い立って静岡へ出かけました。駅前からバスに乗って御前崎の先端に立ちました。梅雨空で風もあり、海は岬の前だけ荒れ、波しぶきが顔に当たります。


IMG_2038.jpg


 階段を上がると灯台があります。明治 7年に建てられたそうです。そばに「喜びも悲しみも幾歳月」の歌詞の碑がありました。1957年の木下恵介監督の映画の主題歌です。小学生のころ、母親に連れられて隣町の映画館で観た記憶があります。


 翌日、大井川を見てみようと、東海道本線・金谷から、大井川鐵道に乗りました。線路は大井川に沿って南アルプスの方に登って行きます。1時間乗っても大井川の川幅は広く、川沿いの谷には茶畑が続きます。


 金谷の東隣の島田には、川越えの川会所や宿場の名残のような町並みがありました。この広い大井川を肩車されて渡ったのかと、川堤にに立って向こう岸を見渡しました。


 少し時間があったので、清水から三保の松原へ行ってみました。砂浜に出ると、海の向こうに伊豆半島が微かに見え、松原の向こう雲の上に、わずかに富士山が頭を出していました。





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島と岬 [読書]

  7月になりました。ここ数日、雨が続いています。間食に、先日いただいたマンゴーを食べました。香りが強く夏の気分になります。


 大学生のころ、奄美大島で泊めてもらった家の庭にパパイヤが実っていたのを思い出します。フィラリアで象の足のようになった人の話や、火のついたタバコを指に挟んで野道を歩いていて、手をハブにうたれた話などを聴いた覚えがあります。ハブは熱に向かって飛びかかってくるそうです。


 内陸は知らないが、本土も港ならほとんど知っていると宿のおじさんは言っていました。船乗りの世界観なのでしょう。


   柳田國男は『明治大正史 世相篇』にこんなことを書いています。 <帆船の時代には、風が吹き止めば浜に漕ぎ寄るから、よんどころなしの寄港地も多く、一つ風でも曲り角から先は役に役に立たぬゆえに、岬の突端は大抵はみな風待ちの湊であり、それがために土地も栄えたのであった。汽船の時代が来ればそんな処に上陸はしたくない。少しでも中央の用のある部分に接近してから碇泊してもらいたいのである。だから近世にはいよいよ忘れられた湊が多く、岬はほとんどみな島以上の僻村にもなったのである。>


 時代により土地の栄枯盛衰の見られる事情が分かります。


 そういえば、メンデルスゾーンに「静かな海と楽しい航海」という曲がありますが、帆船の時代には「静かな海」は船が進まない困った状態で、風が吹いてはじめて「楽しい航海」になるんだと、あらためて感じます。時代が変わると分からなくなることも多いようです。


 

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こころに残る短篇小説 [読書]

  短篇小説は 30分もあれば読めてしまうので、寝る前に読むことがあります。エッセイに近いものから、文字によるスケッチ、奇妙な話、寓話風のものなど風味はいろいろですが、一年もすると、ほとんど内容は忘れてしまいます。覚えているつもりでも再読すると、こんな話だったかなぁと、思い違いに気づきます。


 日本のもので記憶に鮮やかに残っているのは、


  庄野潤三「プールサイド小景」

  開高健「玉、砕ける」

  宮本輝「力道山の弟」

  三浦哲郎「みのむし」


 などです。

 そういえば「力道山の弟」は5年ほど前、短篇小説のアンソロジーで読んだのですが、もともとは、なんという本に入っていたのかと調べてみると、1990年出版された短篇集『真夏の犬』の中の一篇で、今は文春文庫になっていました。宮本輝は 40年近く前に一冊読んだことがあるくらいで、あとは映画『泥の河』の原作者という程度の知識しかありません。


 舞台は昭和30年代の阪神間の尼崎。駅前に力道山の弟と名乗る香具師がやって来る。


 <男は、力道山に生き写しだった。私は、テレビで観た力道山の顔を頭に描きつつ、男を見つめた。男は、自分を取り囲んだ人々の数を確かめてから、煉瓦を空手チョップで割った。>


 小学校五年生の私と父、母、父の友人の妻などの世界が、力道山の弟の出現によって軋んでゆく。猥雑な時代を生きる人間の劇が描かれています。


 昭和30年代って、そんな時代だったな・・と思い、そういえば、あの頃、隣街のあたりでは、村上春樹も彼の「父と子」問題の中で生きていたんだろうと推測します。いずれにせよ、この現代も、殻を破れば同じ事なんだ・・と、最近の父と子をめぐる事件を思い浮かべます。



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