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夜明け前のこと [読書]

 以前、高田宏の『木に会う』などの本を読んでいると、島崎藤村『夜明け前』のことがよく出てきました。気になって、十年以上まえに岩波文庫の四冊本を買いましたが、本箱に並べたままになっていました。


 ふと読んでみる気になって、やっと第一部(上)を読了しました。「木曽路はすべて山の中である。」という書き出しから、黒船の来航以来の攘夷や倒幕に揺れる世の中を、馬籠宿の本陣・青山吉左衛門、半蔵親子などの目で微細に記述してゆきます。


 「あれは嘉永二年にあたる。山里では小鳥のおびただしく捕れた年で、殊に大平村の方では毎日三千羽ずつものアトリが驚くほど鳥網にかかると言われ、この馬籠の宿までたびたび売りに来るものがあった。」 当時はアトリやツグミなどの野鳥が食用となっていたようすが描かれています。


 いろいろな人や物が木曽路を往来します。「九つ半時に、姫君を乗せた御輿は軍旅の如きいでたちの面々に前後を護られながら、雨中の街道を通った。厳しい鉄砲、纏、馬簾の陣立は、殆んど戦時に異ならなかった。」 和宮の一行が江戸へ、馬籠を通っていきます。


 明治維新から今年は 150年ということですが、『夜明け前』はちょうどふさわしい読み物だったようです。半蔵は藤村の父親がモデルになっていますが、年をとって読むと、半蔵の父親の吉左衛門の目になって、半蔵の行く末を案じながら、文章を追ってゆきます。若いときに読んでおれば、また違った読み方があったろうとも思います。しばらく楽しめそうです。




 

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