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だれかさんが みつけた [音楽]

 紅葉や落葉の時期ですが、秋の歌といって思いうかぶのは『里の秋』とか『もみじ』、『ちいさい秋みつけた』などで、何かの拍子にふと口ずさんだりすることがあります。


  しずかな しずかな里の秋

  おせどに 木の実の落ちる夜は

  ああ かあさんと ただ二人

  栗の実 にてます いろりばた


 二番以降の歌詞を見ると、父親は南方へ戦争に行っているようです。 三番では・・・


  ああ とうさんよ ご無事でと

  今夜も かあさんと祈ります


 元の歌詞は昭和16年に斎藤信夫というひとが『星月夜』という題で作詞したものだそうです。 昭和20年12月、戦地からの復員の時期に合うように、一番、二番はそのままに、三番を作り替え、曲を付け『里の秋』という題にしてラジオ番組に使ったそうです。 単に秋の情景を歌ったものではなく、背景に戦争の影がただよっています。


 『ちいさい秋みつけた』の作詞はサトウ ハチローですが、異母妹の佐藤愛子の『血脈』という長編小説を読むと、佐藤一族はトンデモナイ人たちの集まりで、サトウ ハチローも無茶苦茶なひとのようで、どんな顔をして、かわいらしく「ちいさい秋みつけた」などと言えるのか、不思議に思えるくらいです。不良、放蕩、警察沙汰のすえ、父・佐藤紅緑に勘当され、小笠原諸島の父島に放逐されます。・・・そんな中から歌詞は生まれてくるようです。


 たわいもない子供の歌と思っていても、でき上がるまでには、いろんな事情が絡まっているようです。


  だれかさんが だれかさんが

  だれかさんが みつけた 



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神社に詣でる [読書]

 七五三のお祝いに、今年は愛知県の猿投(さなげ)神社に詣でました。昨年は千葉県の柴崎神社でした。行事のおかげで、いろんな土地に出かけられるのは楽しみです。


 時間があったので、岡崎城を見学しました。徳川家康の生誕地です。矢作川と乙川に囲まれた城でした。三河地方の雰囲気が少し感じられました。


 子供たちの七五三は日前宮でした。長男は境内にある幼稚園に通い、次男はお宮のそばの産科で生まれました。


 神坂次郎『熊野御幸』(新潮社)は後鳥羽上皇の熊野御幸に随従した藤原定家の熊野詣を、『後鳥羽院熊野御幸記』にそって書いた本ですが、日前宮に参る場面が出てきます。


 「後鳥羽院から奉幣使を命じられた定家は、次の王子へ行く院の一行と別れて、紀ノ川の清流で水垢離をとり身を浄め、日前(ひのくま)・国懸(くにかかす)大神宮に赴いている。この大神宮は熊野街道から逸れるが、天照大神の御前霊をまつるこの社に、熊野御幸の途次、奉幣使を差遣するのが上皇たちのならわしになっていた。」


 建仁元年(1201)十月五日、京を進発。桂川から船で淀川を下り、現在の大阪天満橋の西方、渡辺の浜に着く。住吉、佐野を通り、雄ノ山峠を越えて紀ノ川べりにやって来る。先の長い熊野街道です。


 定家は田辺で、<夜、寒風枕を吹き、咳病忽ち発し、心神甚だ悩む。此宿所又以って荒々し>と書いているそうです。風邪気味の定家も岩田川を渡り、<河の深き処は股に及ぶも袴をかかげず>といった行程に疲労困憊し、ついには輿に乗せられ運ばれるはめになります。これからが険しい山道です。


 後白河上皇は熊野御幸を三十三度、後鳥羽上皇は二十八度も行っています。なんという情熱かと驚かされますが、随従する人たちの苦労にも思いやられます。




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晩秋の風情 [読書]

 今朝はしぐれが降っていました。このあたりでも紅葉が見られるようになりました。「猿も小蓑をほしげなり」といった感じです。


 柳田国男は『雪国の春』で「・・・京都の時雨の雨はなるほど宵暁ばかりに、物の三分か四分ほどの間、何度と無く繰返してさつと通り過ぎる。東国の平野ならば霰か雹かと思ふやうな、大きな音を立てゝ降る。是ならば正しく小夜時雨だ。夢驚かすと歌に詠んでもよし、降りみ降らずみ定めなきと謂つても風情がある。」と書いているそうです。時雨は京都盆地のものだということでしょう。


 「風情」といえば、このあいだ書店で文庫棚を見ていると、岡茂雄『本屋風情』(角川ソフィア文庫)というのがあって、買ってきました。著者は出版業をしていた方ですが、柳田国男から「本屋風情(フゼイ)」と言われたことがあり、この本の題名にしたそうです。


 本は、柳田国男から、田辺の南方熊楠を訪ねたいきさつを聞いた話から始まっています。民俗学に関係した人の話題が続いています。日曜日には池内紀が毎日新聞の「今週の本棚」で取り上げていました。


 先週、西行の直筆を見てみようと博物館に行きましたが、どういうわけか、南方熊楠の原稿も展示されていました。毛筆で、和紙に小さな文字が異様にぎっしりと書かれていたのが印象的でした。


   楠の根を静にぬらす時雨かな (蕪村)

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心なき身 [読書]

 今年は西行の生誕 900年ということで、近くの博物館で「特別展 西行」が開かれています。西行の書状など国宝 11件が展示されているそうです。


 小林秀雄「西行」、白洲正子『西行』、辻邦生『西行花伝』など、過去に読んだ本を思い浮かべますが、西行がどういう人だったのか、焦点が定まりません。


 吉野へ行くたびに西行庵の場所を案内図で確認しますが、奥まった所なので、行き着いたことがありません。高野山の麓の天野という村にも、西行堂というのがあります。そこには鬼界ヶ島に流された俊寛に仕えた有王丸の塚といわれるものもあります。


  行方(ゆくへ)なく月に心の澄みすみて

          はてはいかにかならむとすらむ (西行)


 河内から奈良・御所(ごせ)へぬける葛城山の麓の道のそばに、弘川寺があり、裏山に西行の墳墓といわれるものがあります。あの辺りでは、今は紅葉が始まっていることでしょう。

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