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本の熱量 [読書]

 当地でも、きのうソメイヨシノが咲き出したようです。去年より5日遅く、例年並みとのことです。今年は熊野ザクラを見に行きたいと思っていたのですが、用事や腰痛で、出かけられませんでした。


 これから1週間ほどで、春爛漫となることでしょう。ブログの頭のサクラの写真は、5年ほど前に、京都御所の近くで撮ったものです。どんな用で行ったのかは、忘れました。


 島崎藤村『夜明け前』を読み終わったあと、河盛好蔵『藤村のパリ』(新潮社)を再読しました。20年ほど前に読んでいたのですが、あらかた内容は忘れていました。藤村のパリでの下宿のようす、特に下宿の女主人の年齢の調査、藤田嗣治などの画家との付き合い、第1次世界大戦が始まって疎開したリモージュのことなど、現地を何度も訪れ、詳細に記載されています。高齢にもかかわらず、河盛好蔵の旺盛な好奇心、探究心に驚嘆させられます。


 『夜明け前』の主人公・青山半蔵と少し重なって、江戸末期に生きた漢方医・澀江抽斎について、微細に調べ、史伝を書いたのは森鷗外です。無名に近い人物への執拗とも思える調査・探索には、鷗外の異様なほどの情熱が感じられます。


 『藤村のパリ』からは『澀江抽斎』に匹敵する情熱が伝わってきます。読書の醍醐味です。


  うらうらと照れる光にけぶりあひて

       咲きしづもれる山ざくら花 (若山牧水)




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ブラジル風味 [音楽]

 そろそろサクラが咲こうかという時節ですが、まだ寒さがこたえます。運動不足のせいか、午後になると腰痛に悩まされます。


 だんだんと兄弟も少なくなって、自分の生きてきた時間の長さが、それなりの量になっているのを感じます。そのぶん新しい世代が成長しています。


 何か聴いてみようと思って、ブラジルの作曲家・ヴィラ=ロボス(1887-1959)の「弦楽四重奏曲集」と18世紀のテレマン「フルートのための12の幻想曲」を買ってみました。


 ヴィラ=ロボスは「ブラジル風バッハ第五番」が映画などに使われて、知られていますが、多作家だそうで、弦楽四重奏曲も17曲あります。年代順にまだ第七番までしか取り出していませんが、やはり、情感にあふれた楽曲で、寝っ転がって気持ちよく聴けます。年齢とともに、どんな風に曲想が変わっていくのか楽しみです。







 

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夜明け前の坂 [読書]

 2週間ほど前、冷蔵庫の下の床に水が溜まっているので、ドアを開けてみると冷えていません。冷凍庫も解けています。いろんなところを触ってみましたが、冷えません。どうも壊れたようです。もう20年も使っているので、いたしかたないかと、諦めました。


 数日して注文した新しい冷蔵庫が届けられて、設置してもらいました。中が空なので、冷凍ストックなど、いつもより多く買い物をして、重いなと思いながら提げて帰りました。2日後から、腰痛に悩まされています。


 微妙なバランスで暮らしているので、少し負荷がかかるとこたえます。もう 70年も使っているので、いたしかたないかと、諦めます。


 7ケ月かかって、島崎藤村『夜明け前』(岩波文庫 全4冊)を読了しました。読むといっても文庫本は「字が小さくて読めない ! 」ので、週末ごとに、朗読してもらいました。ただ一人で黙読では、おもしろくても途中で投げ出したと思います。


 黒船来航の幕末から、明治20年代まで、中山道の馬籠宿を舞台に、藤村は父をモデルに、青山半蔵の一生を描きます。本陣・問屋に生まれた半蔵は平田篤胤の国学を学び、明治維新に王政復古の夢を抱き奔走しますが、維新後の政治に翻弄され、生涯を座敷牢で終える結果となります。淡々と、木曽路の日常を書き、青山家に暮らす人々をこまやかに描き、時代の移り変わりを丁寧に書き込んでいます。


 30年ほど前、子どもたちを連れて、馬籠の坂道を登ったことがあります。坂の上に本陣跡がありました。あの場所で、こんな歴史があったのかと、いまさらながら遠くを望むような気持ちになります。また、いずれ、あの坂を歩いてみるかと思っています。




 


 

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春の岬 [徘徊/旅行]

IMG_2008.jpg


 イカナゴ漁が解禁になりました。ここ数年は不漁続きですが、今年はどうなんでしょう。瀬戸内海の春の食べ物です。食べごろな大きさなのはいっときなので、時期には、毎日のように食べました。茹でてすぐのものか、茹でて数日、干したものがほとんどでした。


 むしろに展げて乾している中には、小さなタコも混じっていました。半乾きの物を手のひらに取って、おやつとしても食べました。釘煮という食べ方は大人になるまで知りませんでした。


 先日、紀淡海峡の見える岬に行ってみましたが、海は霞で、前の島々はぼやけていました。友ヶ島へは渡ったことはありませんが、廃墟となった要塞があるそうです。


  春の岬 旅のをわりの鷗どり

  浮きつつ遠くなりにけるかも


 昭和二年、二十七歳の春、三好達治は当時伊豆湯ヶ島に転地療養中の梶井基次郎を見舞って、そのあと下田から船で沼津へ渡ったらしく、その船中での感興だそうです(安東次男『花づとめ』中公文庫)。「鷗どり」は湯ヶ島に残してきた梶井の映像で・・・「春の岬」は叙景歌ではない、と安東次男は記しています。



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