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暑い夜に閑話 [読書]

  台風が通り過ぎて、一気に真夏になりました。今日は暑さになじんでいないせいか、体が少しふらつくような感じがします。この夏をどうやり過ごすか、思案します。


 この間から読んでいる森銑三『明治人物閑話』(中公文庫)には、井上通泰という人物が出てきます。眼科医で歌人、国文学者で、森鷗外と親交があったひとです。播州の生まれで柳田國男の実兄だそうです。


 著者の森銑三は昭和十年代ごろ、よく井上の別荘を訪れ、本を見せて貰ったり、雑談を聴いたりしたそうです。いろんな話が出てきます・・・


 <鷗外の両親のことを問うたのに、先生は答えて、森のおっかさんは清少納言で、幸田(露伴)のおっかさんは紫式部だと、僕等の仲間ではいっていたよ、といわれた。才女とまではいわれなかったが、とにかく才気の勝った婦人だったことを、十分に認めていられた。>


 <いつのことだったか、鷗外が使者となって、井上先生を訪問して、今度君に文学博士を贈ることになったから受けて貰いたい。しかしそれに就いては、大学側の連中とも、今後は融和して行って貰いたい、という意嚮を伝えた。しかしそれを聞いた先生は、納らなかった・・・そういう条件つきで文学博士となることなどは御免を蒙る。> 鷗外はそれ以上に一言も口をきこうとせずに、辞去したそうです。


 <私があまりに鷗外のことを聴きたがったからであろうか、いつだったか、鷗外の人物に就いて尋ねたら、うん、悪いことはせぬ男だった、と簡単な一言で片附けられて、それなりになってしまったこともあった。>


 この後、夏目漱石のこと、成島柳北、斎藤緑雨といった人たちの話題が続きます。暑い夜に寝転んで読むのにちょうどよい本のようです。

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たかが野球、されど 5人 [雑感]

  素人からみると、将棋のプロ棋士とかプロ野球選手などは天才に属する人種なのだろうと思います。全国に名の知れた高校球児が、プロ野球に入ってもなかなか活躍できません。新人でライオンズの 4番を打った清原などは、別格と言える存在でしょう。今年も大船渡の 球速160キロの投手が話題になっています。


 『プロ野球史上最高の選手は誰だ?』(宝島新書)はプロ野球 OB 107人に取材して、各人に投手、野手の上位 5人を選んでもらって載せています。誰が誰を選んでいるか? 眺めていると、いろいろ楽しめます。歴史上の成績を含めて選ぶ人、自分自身が対戦した経験から選ぶ人、先輩への忖度が感じられる人など、基準はさまざまです。


 野手について見てみると、野村克也は( ①山内一弘 ②榎本喜八 ③落合博満 ④中西太 ⑤松井秀喜 )を挙げています。王も長嶋も張本も入っていません。張本勲は( ①大下弘 ②川上哲治 ③王貞治 ④落合博満 ⑤イチロー )です。福本豊は( ①王貞治 ②野村克也 ③落合博満 ④張本勲 ⑤門田博光 )を選んでいます。誰もミスターは入れていません。


 ところが、投手だった人は、山田久志は( ①長嶋茂雄 ②王貞治 ③落合博満 ④張本勲 ⑤福本豊 )で、江本孟紀( ①長嶋茂雄 ②王貞治 ③野村克也 ④山内一弘 ⑤中西太 )と長嶋を一番に挙げています。


 打者から見た打者と、投手から見た打者の違いなのか、記録より記憶なのか、あるいは、「最初はグー!」のように、とりあえず、ご挨拶に頭に置いただけなのか、いろいろ考えられます。


 ちなみに掛布雅之は ( ①田淵幸一 ②加藤秀司 ③藤田平 ④前田智徳 ⑤若松勉 )だそうで、ON とイチローと松井秀喜は除かないと、5人のうち 4人が決まってしまていて、ひと枠しかないからとのことです。


 投手部門の 5人の人選も、それぞれ人によって面白いものがあります。野球を観る楽しみに満ちています。たかが野球と笑われそうですが・・・それはそれとして、60年以上の付き合いです。その間、勉学に励んでおれば・・・と思わないでもないですが。


 

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ウミガメの産卵 [雑感]

  今朝はセミが元気よく鳴いていました。曇天の日が多く、セミもとまどっていたのかも知れません。


 昨日、海辺を歩いていると、砂浜の一角に棒を立てて、注意書を付けていました。7月15日にウミガメが上陸し産卵しているので、9月まで見守ってほしいとのことでした。このあたりの砂浜には、毎年、アカウミガメが産卵にやってきます。


 初夏の朝に浜辺に行くと、波打ち際からヒレを使って上陸した跡が見られることがあります。産卵せずに戻って行ったのもあります。何か条件が合わなかったのでしょう。


アカウミガメ上陸跡.jpg


 漁師さんによると、船縁を海亀が泳いでいくことがあるそうです。クジラが湾内に迷い込んできたり、シカが川を渡ってきたり、動物が身近な土地です。農家のおばさんはサルやシカ、最近はアライグマに作物を荒らされてご立腹です。


 浦島太郎といえば丹後半島が有名ですが、あの辺りでも海亀が上陸するのでしょう。玉手箱を開けなくても、充分に白髪のお爺さんになってしまった身でも、いつまでも海亀がやって来れる砂浜であってほしいと願っています。

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駿河のくに巡り [徘徊/旅行]

 今朝はセミが、かよわく鳴いていました。去年は 7月9日が聞き始めだったので、ほぼ同じころです。今年はつい先ごろ梅雨入りしたばかりですが、セミの声を聞くと、もう夏だと思います。


 先日、ふと思い立って静岡へ出かけました。駅前からバスに乗って御前崎の先端に立ちました。梅雨空で風もあり、海は岬の前だけ荒れ、波しぶきが顔に当たります。


IMG_2038.jpg


 階段を上がると灯台があります。明治 7年に建てられたそうです。そばに「喜びも悲しみも幾歳月」の歌詞の碑がありました。1957年の木下恵介監督の映画の主題歌です。小学生のころ、母親に連れられて隣町の映画館で観た記憶があります。


 翌日、大井川を見てみようと、東海道本線・金谷から、大井川鐵道に乗りました。線路は大井川に沿って南アルプスの方に登って行きます。1時間乗っても大井川の川幅は広く、川沿いの谷には茶畑が続きます。


 金谷の東隣の島田には、川越えの川会所や宿場の名残のような町並みがありました。この広い大井川を肩車されて渡ったのかと、川堤にに立って向こう岸を見渡しました。


 少し時間があったので、清水から三保の松原へ行ってみました。砂浜に出ると、海の向こうに伊豆半島が微かに見え、松原の向こう雲の上に、わずかに富士山が頭を出していました。





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島と岬 [読書]

  7月になりました。ここ数日、雨が続いています。間食に、先日いただいたマンゴーを食べました。香りが強く夏の気分になります。


 大学生のころ、奄美大島で泊めてもらった家の庭にパパイヤが実っていたのを思い出します。フィラリアで象の足のようになった人の話や、火のついたタバコを指に挟んで野道を歩いていて、手をハブにうたれた話などを聴いた覚えがあります。ハブは熱に向かって飛びかかってくるそうです。


 内陸は知らないが、本土も港ならほとんど知っていると宿のおじさんは言っていました。船乗りの世界観なのでしょう。


   柳田國男は『明治大正史 世相篇』にこんなことを書いています。 <帆船の時代には、風が吹き止めば浜に漕ぎ寄るから、よんどころなしの寄港地も多く、一つ風でも曲り角から先は役に役に立たぬゆえに、岬の突端は大抵はみな風待ちの湊であり、それがために土地も栄えたのであった。汽船の時代が来ればそんな処に上陸はしたくない。少しでも中央の用のある部分に接近してから碇泊してもらいたいのである。だから近世にはいよいよ忘れられた湊が多く、岬はほとんどみな島以上の僻村にもなったのである。>


 時代により土地の栄枯盛衰の見られる事情が分かります。


 そういえば、メンデルスゾーンに「静かな海と楽しい航海」という曲がありますが、帆船の時代には「静かな海」は船が進まない困った状態で、風が吹いてはじめて「楽しい航海」になるんだと、あらためて感じます。時代が変わると分からなくなることも多いようです。


 

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